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札幌高等裁判所 平成10年(行コ)21号 判決 1999年6月16日

控訴人

亡小林セ訴訟承継人 小林正人(X)

右訴訟代理人弁護士

梅原成昭

被控訴人

伊達市固定資産評価審査委員会(Y)

右代表者委員長

小笠原栄一

右訴訟代理人弁護士

山根喬

丸尾正美

主文

一  原判決を取り消す。

二  被控訴人が原判決添付の別紙物件目録記載の建物の平成九年度固定資産課税台帳登録価格について平成九年七月三日付けでした控訴人の審査申出を棄却する旨の決定を取り消す。

三  訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。

事実及び理由

四 当裁判所の判断

1  当事者間に争いのない事実、固定資産の価格決定、固定資産評価基準による家屋の評価方法、本件建物の価格についての説示は、原判決一二頁一〇行目から二二頁四行目までのとおりであるからこれを引用する(ただし、原判決一三頁一〇行目の末尾に続けて「控訴人は固定資産評価基準はその主張のような問題点があるからこれを適用して価格を算定することは不合理である旨主張するが採用することはできない。」を加え、同二一頁三行目の「〇・六二九四」を「〇・八九一〇」に改める。)。

2  ところで、地方税法は「固定資産税は、固定資産の所有者(質権又は百年より永い存続期間の定のある地上権の目的である土地については、その質権者又は地上権者とする。)に課する。」(三四三条一項)、「固定資産」とは「土地、家屋及び償却資産を総称する。」(三四一条一号)、「基準年度に係る賦課期日に所在する土地又は家屋に対して課する基準年度の固定資産税の課税標準は、当該土地又は家屋の基準年度に係る賦課期日における価格で土地課税台帳若しくは土地補充課税台帳又は家屋課税台帳若しくは家屋補充課税台帳に登録されたものとする。」(三四九条一項)、「価格」とは「適正な時価をいう。」(三四一条五号)とそれぞれ定めている。また、固定資産の価格の決定権者、同手続等については先に述べたとおりである(原判決一三頁以下)。したがって、本件においては、伊達市長が決定した本件建物の平成九年度固定資産税の課税標準となる価格(三〇〇八万三〇四四円)が平成九年一月一日時点における「適正な時価」を超える場合には、同価格決定を違法と評価するほかない。

そこで、検討すると、控訴人は当審において不動産鑑定士三好敬作成の平成一一年二月一三日付け不動産鑑定評価書(〔証拠略〕)を提出した。同鑑定評価書は、本件建物の概況(位置、交通機関、敷地の形状、地積等)、建物の建築時期、構造等を調査確定したうえ、その再調達原価を一平方メートル当たり一二万八〇〇〇円とし、定額法による減価を三九分の二〇(築後一九年、経済的残存耐用年数二〇年、残価率〇)、観察減価を二五パーセントとして一九五五万円を算出し(延面積は四階部分二・二八平方メートルを加え三九七・〇九平方メートル)、これから補修費六〇万円を控除して本件建物の平成九年一月一日時点の鑑定評価額を一八九五万円としたことが認められる。同鑑定評価書に添付された地図及び写真に照らしても、評価の前提となる事実の確定に問題があるとも認められないし、計算過程等にも過誤があるとは窺えないうえ格別の反証もないことから、同鑑定評価書に則って本件建物の「適正な時価」を認定するのが相当である。

そうすると、同鑑定評価書の「観察減価」、「補修費の控除」の双方又はその一方が「定額法による減価」と重複評価されたものと見る余地があるとしても、本件建物の平成九年一月一日時点の「適正な時価」は二六〇六万円程度を超えるものではなく、したがって伊達市長の定めた三〇〇八万三〇四四円は「適正な時価」を超えるものであるから、本件決定はその余の点について判断するまでもなく違法のそしりを免れないものである。

3  以上の次第で、本件決定の取消しを求めた控訴人の請求を棄却した原判決は相当ではないからこれを取消し、控訴人の請求を認容することとし主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 大出晃之 裁判官 中西茂 竹江禎子)

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